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事業承継対策

2014年10月2日 木曜日

 本日、独立行政法人 中小企業基盤整備機構による「事業承継セミナー」の研修を受けてまいりました。
中小企業白書(2006年版)によれば、年間29万社の廃業のうち、後継者不足を第一の理由とする廃業が7
万社、雇用の喪失は毎年20万~30万人に上るとされており、日本経済を支える中小企業の雇用や技術の喪失
といった観点から、事業承継問題がクローズアップされています。
 特に近年、中小企業経営者の高齢化が進展しており、これは後継者難が増加していること、平均寿命上昇や事
業承継時期の遅れにより社長在任期間が長期化していることが原因と考えられます。

もし事業承継対策をしないと、様々の理由で経営が不安定になり、事業承継が困難となってしまします。
代表的なケースを紹介しますと、
 ①長男を社長にしたにも関わらず、なかなか経営権を委譲しなかった。
 ②創業者が、事業承継に関して何の対策も行わなかったため、事業の承継すら危ぶまれる事態に陥った。
 ③相続予定者のなかに意思の疎通が図れなかった人物が存在していたにも関わらず、十分な生前贈与や遺言の
  作成がされなかったため、後継者に事業用資産の集中ができなかった。
 ④自社の魅力(製品に対する魅力等)を後継者に承継できなかったため取引先と有効な関係を築けなかった。

<そもそも事業承継とは?>
 事業承継とは、”現経営者から後継者へ事業のバトンタッチを行うこと” 
 企業がこれまで培ってきた様々な財産(ヒト、モノ、カネ、知的財産)を上手に聞き継ぐことが、承継後の経
 営を安定させるために重要となります。
 

  ①人の承継 (ヒト)      後継者
  ②資産の承継(モノ、カネ)   自社株式、事業用資産(設備、不動産等)、資金
  ③目に見えにくい経営資源の承継(知的財産) 
              経営理念、社長の持つ信用、営業秘密、特許・ノウハウ、熟練工の持つ匠の技、
              得意先担当者の人脈・顧客情報、許可・認可・認証

<事業承継対策の進め方>
 (1)まず、現状を把握します
  ①会社概要の把握   従業員数、資産、キャシュフロー、知的資産、負債、
              会社の競争力の現状と今後の見込み
            
  ②株主、親族関係の把握
  ③個人財産の概要把握 保有自社株式、個人名義の土地・建物、個人の負債・個人保証等

 (2)次に、後継者・承継方法を確定します。
  ①親族内後継 現経営者の子息。子女が後継者となるケース
  ②親族外承継 共同創業者、番頭格の役員、優秀な従業員等が後継者となるケース
  ③全くの第三者(M&A)
 
 
   

 (3)事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだ「事業承継計画表」を作成します。

<事業承継税制>
 事業承継税制とは、中小企業の後継者が、現経営者から会社の株式を承継する際の相続税・贈与税の軽減制度
 で、平成25年の税制改正で非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度が拡充され、活用しやすくなりまし
 た。改正のポイントは、
 (1)平成25年4月より、経済産業大臣の事前確認を受けなくても制度利用が可能となりました。
 (2)平成27年1月より
  ①後継者は現経営者の親族に限定されていましたが、適任者を後継者にすることが可能になりました。
  ②雇用の8割以上を5年間毎年維持とされていましたが、5年間平均で8割となりました。
  ③現経営者は贈与時に役員退任が要件とされていましたが、代表者の退任だけで有給役員として残留可能
   となりました。 などなど
  *事業承継対策については改めて紹介したいと思います。